紺碧の海 金色の砂漠
口の中でブツブツ言ってはみるものの、今夜は戻らないと思うだけで寂しく感じるのはどうしてだろう。それも下半身の辺りがトクに。

自分の身体がすっかり“夫婦生活”それも“アルのジャンビーア”に馴染んでしまっていることに気づき、舞はちょっと恥ずかしかった。


「あら? 妃殿下、お顔が赤うございます。日焼けでしょうか? それともお風邪でも」

「ち、違うから……大丈夫だから。クロエのせいじゃないし、心配しないで」


まさか、夫とのアレコレを想像して赤面してしまいました……なんて、口が裂けても言えない。


「あ、そうだ。陛下の代わりにね、本国からわたし付きの女官がやって来るの。わたしたちより新婚さんなのよねぇ。確か……クアルンの外に出るのは初めてだったと思うから、色々驚くだろうなぁ」


なんと、アズウォルドにシャムスがやって来るという。

十八歳という年齢のわりにしっかりしていて、教義にもうるさい。小姑っぽいイメージのあるシャムスだが、それでも舞にとっては頼りになる女官だ。


(ターヒルとの新婚生活を絶対に聞き出してやろう。楽しみ~)


クアルン国内の異変、そしてターヒルの身に起こっていることなど何も知らない舞である。約一ヶ月ぶりとなるシャムスとの再会に、胸を躍らせても無理はなかった。

舞にとって気がかりがあるとすれば、


「周辺地域の警護はレイに任せているが、リゾート内に護衛としてダーウードともう一名側近を残して行こう」


と言った点だろうか。

おじいちゃんのダーウードに護衛なんて務まるのだろうか? それに、正妃として認められてもいないのに。それを考えると気の重い舞だった。


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