紺碧の海 金色の砂漠
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アズウォルド本島から王室専用船で海上エアポートに到着する。

ミシュアルは舞の失態など想像することもなく、シャムスのもたらした情報に頭を悩ませていた。


反日組織が本格的な暴動を起こす前に逮捕し、関係者が胸を撫で下ろした直後に問題が発生したという。逮捕された組織の連中がこぞって、現国王の側近ターヒルの名前を首謀者に挙げたのである。


『皆が、あり得ない、と証言してくれました。ところが、陛下のご結婚に段取りが狂ったのは、我が夫ターヒルさまが同じく側近のヤイーシュ様と結託しアーイシャ様を攫ったせいだ、と』
 

確かに予定が狂い、様々な行事を省いた。舞の具合が悪いと押し通し、宗教的儀式も飛ばしたのだ。

ところが、同時期に舞をアブル砂漠近くのカンマン市で見かけたという声が上がったらしい。


真実を口にすれば、ラシード王子妃となったライラの罪が明るみに出てしまう。

ターヒルをはじめ国王直属の衛兵らは全員が口を噤んだ。


ラシードはターヒルを庇おうとしたが……。


『ラシード様とライラ様の結婚は予定外のことでした。そのせいで色々な噂が水面下で広がっております。ラシード様はそのせいで、リドワーン様に捜査の指揮権を委ねるような形になってしまって』


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