紺碧の海 金色の砂漠
それに“アライブ・キャラハン”を名乗る理由もちゃんと聞いておきたい。


「今回、アズウォルド王国ではその名前を名乗っております」


なんて、説明にもなっていない、人を馬鹿にした言い草だ。

クアルンで起こった“国王の判断が必要な事案”とはなんだろう。ひょっとして、またライラが何かしたのだろうか?

“また”なんて言ったらライラは怒るかもしれない。だがライラの父、マッダーフ元軍務大臣が起死回生の一発を狙って何かしでかした可能性は大だ!


(暴動とか……反乱とか……ま、まさか、戦争になったりしないよね)


舞の中にヤイーシュに言われたことで忘れられない言葉があった。


――私の知る人間で“自由”に生きることが許されないのは……シーク・ミシュアル、彼だけです。彼がそれを求めた時、この国に戦乱を招くでしょう――


ミシュアル国王は舞を正妃とするため、あらゆる手段を講じた。

それがもし、自由を求めたことになるなら。そのせいで、クアルン王国に内戦でも起こることになれば……舞はどうすればいいのだろう。

そのことをヤイーシュに尋ねたかった。

思えばこのアズウォルドに来た頃から、ミシュアル国王は舞に対して妙に優しくなった気がする。ティナの件で口を挟んだ時も、彼にしては珍しく舞の機嫌を窺うかのようで。
 

舞は頷き、思い切って一歩踏み出した。


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