紺碧の海 金色の砂漠
舞はミシュアル国王の口調を真似て叫んだ。

ところが、笹原もダーウードも目を見開いて驚いている。

舞はとたんに不安になり……「わたし、なんか間違えてる?」と笹原に尋ねた。


「いや……だが、男言葉で怒鳴る王族女性は私の記憶にはないな。まあ、最近のことはわからないが」


そういえば、以前ターヒルが『発音は正確に、そして女性形と男性形があるので、英語と同じように考えてはいけません』なんて言ってた気がする。

では、女言葉でどう言えばいいのか、とっさに出てくるものではない。
 

『だが、ダーウード、妃殿下のおっしゃるとおりだ。聞かれたことに速やかに答えよ。貴様が国王を手にかける、愚か者ではないと信じたいが……』


舞が悩んでいる間に、笹原がダーウードに尋ねた。


『さあ、私は存じませぬな。ただ、本国には日本人女を正妃にした陛下をよく思わぬ人間もいる、とだけ申しておきましょう』

「アルに妙な真似したら、ただじゃ済まさないから!」

『日本語の質問に答えるつもりはないと』


舞はズンズン歩いて再びダーウードに近づく。さすがに大理石の灰皿はまずいので、もう片方の羽根枕で彼の頭をぶん殴った。いくら柔らかい枕とはいえ、思い切り払われたら平手打ちくらいの威力はある。


「答えなくてもいいわ! 覚えときなさい。アルに何かしたら、あんたを殺してやる! ゼッタイに許さないからっ」


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