紺碧の海 金色の砂漠
次男である笹原は王位継承権を放棄し、外国籍を取得している。
しかし、クアルン王国の王族に関する法律により、彼は国籍と王子の地位を捨てることはできなかった。そのため、特例により二重国籍が認められている立場だ。放棄は彼の希望であり、法的に復権は可能だった。
とはいえ、現時点で正統なミシュアル国王の後継者は三男ラシード王子だろう。
そこで問題になってくるのが“舞が妊娠しているかも知れない男子”の存在。
正統性を主張するなら、その男子が王位継承順位第一位となる。
ラシード王子が未婚なら、彼が兄の正妃を娶り、王位を継承する。そして、男子が生まれたらその子が次の王位に、女子であったら、ラシード王子と舞の間に男子が生まれるのを待つ。ということになるのだが……。
ラシード王子にはライラという第一夫人がいる。
前王の正妃を第二夫人として娶ることは許されない。舞には同じ地位を与えなくてはいけないからだ。
ライラと離婚し、新たに王として必要な正妃を娶る、という形になるが……反日感情を煽り、問題が大きくなることは火を見るより明らかだった。
きっとミシュアル国王も同じことを考え、笹原に白羽の矢を立てたのだろう。
独身の彼なら大した面倒もなく、舞を第一夫人にできる。
彼自身が王位に就くもよし。摂政の立場で舞と息子を支え、やがて、息子が王位継承可能な年齢に達したと判断されたら、速やかに譲り渡すであろうと信頼したに違いない。
そして笹原も兄の期待に応えようと――
「非常に不本意だが……。こうなった以上、私はアルの願いを叶えるために全力を尽くすつもりだ。あなたもそのおつもりで」
しかし次の瞬間、舞の堪忍袋の緒はブチンと切れた。
しかし、クアルン王国の王族に関する法律により、彼は国籍と王子の地位を捨てることはできなかった。そのため、特例により二重国籍が認められている立場だ。放棄は彼の希望であり、法的に復権は可能だった。
とはいえ、現時点で正統なミシュアル国王の後継者は三男ラシード王子だろう。
そこで問題になってくるのが“舞が妊娠しているかも知れない男子”の存在。
正統性を主張するなら、その男子が王位継承順位第一位となる。
ラシード王子が未婚なら、彼が兄の正妃を娶り、王位を継承する。そして、男子が生まれたらその子が次の王位に、女子であったら、ラシード王子と舞の間に男子が生まれるのを待つ。ということになるのだが……。
ラシード王子にはライラという第一夫人がいる。
前王の正妃を第二夫人として娶ることは許されない。舞には同じ地位を与えなくてはいけないからだ。
ライラと離婚し、新たに王として必要な正妃を娶る、という形になるが……反日感情を煽り、問題が大きくなることは火を見るより明らかだった。
きっとミシュアル国王も同じことを考え、笹原に白羽の矢を立てたのだろう。
独身の彼なら大した面倒もなく、舞を第一夫人にできる。
彼自身が王位に就くもよし。摂政の立場で舞と息子を支え、やがて、息子が王位継承可能な年齢に達したと判断されたら、速やかに譲り渡すであろうと信頼したに違いない。
そして笹原も兄の期待に応えようと――
「非常に不本意だが……。こうなった以上、私はアルの願いを叶えるために全力を尽くすつもりだ。あなたもそのおつもりで」
しかし次の瞬間、舞の堪忍袋の緒はブチンと切れた。