紺碧の海 金色の砂漠
「だから、あなたがアルの頼みでわたしを守るっていうなら、“守らせてあげる”。でも、決めるのはわたしよ! はっきり言っておくわ。アルは死んでないから、あなたと結婚するようなことにはなりません! それと、アルが戻ってくるまで妊娠の検査も受けないから。以上!」


舞の宣言に笹原をはじめ、レイ国王やティナまで息を飲んでいる。


そんな中、ヤイーシュが恐る恐るといった感じで口を開いた。


「アーイシャ様。検査は早めに受けられてもよろしいのでは? 陛下がご無事なら、そのことをお知りになられたら喜ばれると思うのですが……」

「受けないわ。戻ってからでも充分だもの」


キッパリと言い切る舞を見て、何を言っても無駄だと悟ったのだろう。ヤイーシュはそれ以上何も言わなかった。


しかし、ヤイーシュと入れ替わるように笹原は我に返り、口を開いた。


「なんて強情なんだ。あなたは自分の置かれた立場がわかっているのか?」

「知らないわよ! 勝手に話を進めてるのはそっちでしょ? だったらわかるように説明してよ!」


それはそれでもっともだ、と思ったのかもしれない。

笹原はゆっくりと説明しはじめた。


< 208 / 243 >

この作品をシェア

pagetop