紺碧の海 金色の砂漠
「レイ。まだ、シーク・ミシュアルのことは……」

「確たるものが何もつかめない。クアルンは大国で、もともと当然のように情報統制が行われている国だからね。ただ、国民の半数は“ミシュアル国王死亡”の報道に信憑性はない、と思っているようだ」


レイの言葉にティナは少しだけ明るい表情をした。


「そうなの? よかった。早速、そのことをマイに伝えるわ」

「ああ。そうしてあげるといい」


レイは微笑んだ。


「アーイシャ殿は相変わらず?」

「ええ、泣きごとは一切言わないの。それどころか……今日も、リゾート・スパの館内にある温泉プールに、女性従業員をみんな集めて遊んだくらいよ。いつも、楽しそうに笑ってて……私のほうが泣きそう」

「苦しみは吐き出したほうが楽になるんだが……」


レイの呟きにティナは首を振った。


「ダメね。マイはとても意思が強くて、一度決めたら何があっても譲る気はないみたい。でも、たとえ気休めでも電話で伝えてくるわね」


そう言ってティナはレイの執務室から出て行った。
 

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