紺碧の海 金色の砂漠
ミシュアル国王の場合、舞なら赦す、と口にしたが……。

こだわりを捨てたと宣言した訳じゃない。


もちろん初めて愛した男性の妻となり、しかも舞の純潔を狂喜乱舞するほど喜んでくれた。

舞にしても「アルに捧げてよかった」と思わない訳がない。

その反面、「そこまで気にする?」という気持ちもあった。複雑な乙女心である。



「レイ陛下は……その、何て?」

「何も。ネット上の画像を全て回収するなんて不可能だから……。ただ、世界中のマスコミが二度と取り上げないように通達してくださいました。でも、何もなかったと言っても、証拠がある訳じゃないでしょう? 私だけならいいんだけど……陛下のことが笑われるのが一番辛いんです」


ティナは正面の席から舞の横に座り直した。そして、舞の両手をしっかりと握り……。


「あ……あの?」 

「あなたにこの話をしたのは、どうかミシュアル陛下に私の気持ちを伝えて頂きたくて。我が国はオペックの加入を希望しています。もし、その話し合いに私の存在が邪魔になるというなら、二度とミシュアル陛下の前には出ません。ですから、どうか……」
 

ヘーゼルの瞳が涙で揺らめき、それを見た瞬間、舞の胸も熱くなった。


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