紺碧の海 金色の砂漠
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「王妃様とよい時間をお過ごしになられたようで、私も安心いたしました」


王宮の女官長を務め、国賓のお世話係として最高責任者になるのがこのスザンナ・アライだった。

舞の母と同じ年代であろうか、ふくよかな体型で南国を思わせる肌と髪の色をしていた。


「本日のご夕食は、こちらでミシュアル陛下とおふたりで取られると聞いております。明日の晩餐会は、妃殿下はご欠席と伺っておりますが……」


スザンナは申し訳なさそうに言う。

でもそれは彼女のせいでも、アズウォルドのせいでもなかった。ミシュアル国王が言ったように、現状では舞がドレスアップして晩餐会に出席するなどありえないのだ。

舞が王子を産み、王族全体から正妃として認められない限り……。


(だったら産んでやろうじゃないの! ひとり、ふたりなんてケチなこと言わずに。五人くらいドーンと! もういいって言うくらい、王宮をアルのミニチュアで一杯にしてやるんだからっ)


男の子がいいと言うなら、たくさんの王子を儲けた上で、子供は性別に関わらず国の宝だ、と宣言してやろう。舞はそう考えていた。

方向性はともかく、前向きなのが彼女の長所である。


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