紺碧の海 金色の砂漠
舞は思わず愛想笑いを浮かべつつ、


「あんまりしつこいので、つい。……レディ・チカコはティナが嫌いなんでしょうか?」


美人の割にアンナの表情が人懐こい印象だったので、舞も親しげに尋ねてみる。


「レイに子供ができなければ、次の国王は彼女の息子ソーヤになるの。だから、気になって探りを入れてるんじゃないかしら。ソーヤは妙に意地を張って、結婚しようとしないし」


それはそれで余計にプレッシャーなんじゃないかな。舞がポロリと口にする。


「そうなの! ティナが一生懸命になり過ぎるから、少しは考えてくれたらいいんだけど……」


アンナは従弟のレイ国王はもちろん、ティナとも仲が良かったという。

彼女の夫はレイ国王の専属護衛官ニック・サトウ。

ニックの父は国王の首席補佐官、母はレイ国王の乳母だった関係から、アンナ夫婦は結婚後も国王夫妻と家族同様の付き合いをしてきた。

アンナはこれまで、ずっとティナの相談に乗っていた。

しかし、四ヶ月前にレイ国王の元婚約者が第二子を出産。その直後からティナは一層神経質になってしまう。そんなティナに、アンナの妊娠は告げることができず……。

レイ国王も同様で、ひとりでアジュール島を訪れることにしたらしい。

しかし直後に、アンナの第二子妊娠の事実がティナの耳に入ってしまったのだ。


「色々揉めたみたいね……。レイは何も言わないけど」


それ以降、ティナはアンナを避けるようになった。

彼女の話を聞き「なるようにしかならない気がする」と思うのは、まだ切羽詰っていないせいだろうか? 舞はそんなことを自分に問い掛けてみる。


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