紺碧の海 金色の砂漠
舞も自然にそちらに視線が移る。


すると、海から上がってくる大きな影がひとつ。他の皆と同じ鮮やかなオレンジの潜水服を着込んでいるが、あれは……。


「ア……ル? アル、アルッ!」
 

ミシュアル国王は来てくれた。

やっぱり、舞にとって王子様は彼しかいない。

そんな思いを込め、舞はミシュアル国王の名前を叫びながら浜辺に向かって走る。


(なんて言おう……やっぱり、ゴメンなさい、かな? それとも、愛してる、のほうが)


色んな感情が胸の中を錯綜した。

そして、抱きつこうと思った瞬間――ミシュアル国王は舞の横を大股で駆け抜けたのだ!


「さあ、ここまで泳いできてやったぞ! レイ、この私が“足手まとい”だと言った言葉を取り消せっ!」


舞にはなんのことかサッパリわからない。しかし、ミシュアル国王の向こうで、レイ国王は水の滴る前髪をかき上げながら、


「ああ、わかった。前言を撤回する。君は素晴らしい勇者だ」


困ったように笑ったのだった。


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