龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
6時間目~困り事相談

病院から家に帰る途中、いつにも増して圭吾さんは無口だった。


何かいけなかった?


圭吾さんの言うことを聞いて、診察室に行くまで車椅子にもちゃんと乗ったし、レントゲンも撮ってもらった。

骨には異常なく、やっぱり捻挫だった。

お医者様がそう言うと、圭吾さんは『よかった』って呟くように言った。


考え事かなぁ……

お仕事の事かも。


圭吾さんの事だもの、きっと、全部の用事を投げ出してわたしを迎えに来てくれたんだろう。


――優月さんの事を考えてるかもよ?


心の声には耳を塞いだ。


圭吾さんを好きって気持ちは、わたしをどんどん欲張りにさせる。

最初はただ、わたしを必要だって言ってくれるだけでよかった。

甘えて、抱き留めてくれる腕があれば、それでよかったのに……


わたしは心の中でため息をついて、圭吾さんの邪魔をしないように黙って窓の外を眺めた。

都会と違って人通りは多くない。

まだ昼間だから学生の姿も見えない。

歩いているのは、お年寄り、女の人、小さな子供――

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