龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
課外授業~命の声

どうしよう、圭吾さんは留守なのに。


「『何か入り込んだ』の『何か』って何?」


「少なくとも人間じゃあないみたいだね。音が違う」


音?

音なんてしてる?


「しづ姫には聞こえないよ。ペロには聞こえたようだけど」


「ど、どうしたらいいの? 探して追い出す?」


「家の中までは入って来ないよ」


「ホント?」


「たぶん」


たぶん―――――っ?!


「冗談だよ」


ホッとしたのもつかの間だった。


「敷地にだって勝手に入り込めないはずなんだから、家の中まで入って来ても不思議じゃない」


冗談ってそっち?!


憤慨すると、悟くんはニヤッと笑って、『怖くなくなったろ?』って言った。


「ひどい」

わたしは笑った。

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