龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
放課後~散ればこそ

「はい、どうぞ」


ノックの返事が聞こえたので、わたしは引き戸を開けた。


「片岡先生、こんにちは」


養護の先生は、顔を上げてわたしを見た。

今日も白衣に黒のパンツ。化粧っ気はまるで無し。


「ああ、三田さん。足の具合はどう?」


「ほとんど良くなりました」


「そりゃあよかった。こっち来て座りな」


わたしは保健室の中に入り、片岡先生が勧めてくれた椅子に座った。


「で? 今日はどうした?」


「えーと、あのね」

もう! わたしって小学生?

思った事、ハッキリと言う!

「先生、今度の土曜日、暇? じゃなかった――用事はありますか?」


片岡先生はプッと吹き出した。


「この町に来たばっかりだからね、暇だよ」


よかった!


「じゃ、お花見しませんか?」

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