龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
ううん

『自分』をしっかり持っていない人は魅力的じゃないって書いてあるし、わたしもそう思う。

やっぱり大学へ行ったり、お勤めしたりして大人の女性にならなきゃダメなんだ。

それも、とびっきり素敵な女性に。


「よしっ! 頑張る!」


何からやればいいのか分からないけど。

あー

まずは受験勉強か……


ペロが急に上を見上げて、キャンと鳴いた。


げっ! まさか


「志鶴! いるのか?」


うわぁー やっぱり圭吾さんだよ。


「下にいるわ!」

返事をしてから慌てて立ち上がった。


本、本、本――どこに隠そう?!


するとユキが、背表紙のところを前足でガシッと掴んで飛び去って行った。


「志鶴?」


後ろから圭吾さんの声がした。

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