雨が見ていた~Painful love~
昔懐かしい玄関をくぐると、軽い塩素の匂いが鼻をくすぐる。
キャァ~!とはしゃぐ子供たちの声に、雑談するママ軍団の声。
――ふふ。変わんないなぁ。
そんなことを思いながら、廊下を歩いていると視線の遠くに、全身黒いジャージに身を包んだコーチらしき男の人を見つけてしまった。
短髪で
背が高くて
水泳選手特有の体つきをした、男性。
――ずいぶん若そうなコーチだなぁ。
お母さん方に挨拶して
子どもたちの頭をポンポンと叩いて
屈託ない笑顔を見せる、その男性。
――いいな、こういう優しい人。
心をホッコリさせながら、そんな微笑ましい光景に視線を向けていると、
「……!?」
男性コーチは私の姿を見て“まさか!”とでも言いたげな表情を浮かべている。
――え?なんで!?
その視線に驚いて私もカレの顔をじーっっと見つめていると
「あ、あぁっ!」
「やっぱり…桐谷さん!?」
「ウソ…!!拓真くん!?」
私は偶然にも、とっても懐かしい人と再会を果たしてしまった。