雨が見ていた~Painful love~


昔懐かしい玄関をくぐると、軽い塩素の匂いが鼻をくすぐる。


キャァ~!とはしゃぐ子供たちの声に、雑談するママ軍団の声。



――ふふ。変わんないなぁ。



そんなことを思いながら、廊下を歩いていると視線の遠くに、全身黒いジャージに身を包んだコーチらしき男の人を見つけてしまった。





短髪で
背が高くて
水泳選手特有の体つきをした、男性。






――ずいぶん若そうなコーチだなぁ。






お母さん方に挨拶して
子どもたちの頭をポンポンと叩いて
屈託ない笑顔を見せる、その男性。







――いいな、こういう優しい人。







心をホッコリさせながら、そんな微笑ましい光景に視線を向けていると、



「……!?」


男性コーチは私の姿を見て“まさか!”とでも言いたげな表情を浮かべている。





――え?なんで!?





その視線に驚いて私もカレの顔をじーっっと見つめていると


「あ、あぁっ!」


「やっぱり…桐谷さん!?」


「ウソ…!!拓真くん!?」



私は偶然にも、とっても懐かしい人と再会を果たしてしまった。




< 136 / 545 >

この作品をシェア

pagetop