雨が見ていた~Painful love~



空からはチラチラと白く冷たい雪が舞い始める。




そんな冷たい冬の空を見上げながら、響弥は迷い始めていた。






大事なレース

大事なオンナ







どちらも選べない

どちらも大切で選べない








夢と愛







それはどっちも欲しくて欲しくて堪らないモノ







欲しいから傷つけて
手に入れたいから泣かせてしまう
ムカつくオンナ



小さいころからあこがれていた
夢の舞台への切符のかかった試合







どっちも欲しい

どっちも手に入れられるはずだと、自分は確信していた




自分の努力と
自分の運を信じているから
俺にはそのどちらも手に入れられると思っていたのに…




――恨むぞ、神様…




悪魔はどちらかを選べと言う。


選べるはずもないのに、選べと言う。




「くそーーーーーーーっ!!!!!」





寒い寒い冬の夜

寒い寒い雪の夜




一人の男の人生が狂っていった――……




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