雨が見ていた~Painful love~
――ただの幼なじみ
その言葉に
体中の血が凍りつく
もしかして、先生はあのことに勘付いたんだろうか。キョウちゃんと私ししか知らない、あの秘密に。
受話器を持つ手から、どんどんどんどん冷たくなるカラダ
郷田先生のの問いかけに何も答えることができずに、ただ押し黙っていると
「…変なことを聞いてすみません。
実は、桐谷さんと最後に帝体大でお会いした後から…藤堂の様子が変なんです。」
「…え…!?」
「スランプというのかな。泳いでも泳いでも…いや、泳げば泳ぐほどタイムが落ちていく。今のアイツじゃ…日本選手権の優勝は難しいでしょう。」
苦しそうに。だけど冷静に郷田先生はこんな言葉を口にする。
――あのキョウちゃんが、スランプ…!?
唯我独尊
死ぬまで俺様主義のあの男がスランプ!?
だって3週間前までは絶好調だったじゃない!世界記録とタイ記録まで出してて、絶好調だったハズだよ?!
その言葉が信じられなくて
「郷田先生。」
「はい。」
「本当に藤堂さんがスランプに陥っているんですか?」
そう尋ねると郷田先生はしばらく間を置いて
「…はい。アイツを今まで見てきた中でも、最大のスランプです。あんなに調子の悪い藤堂を見たのは初めてかもしれません。」
苦しそうにそうつぶやいた。