雨が見ていた~Painful love~



スローモーションのように
どんどん近づくキョウちゃんの唇


空気がピンと張りつめて
息することすらためらわれる、あのキス直前の独特の空気感があたり一面を包み込む。




ヤバイ…
やばいよ、私。



もう…
このままキスされちゃうのかもしれない…!!



ドキドキしすぎて胸が痛い

繋がれた手のひらが熱くて熱くて、焦げそうだ。




なんで…だろう。
なんでキョウちゃんに対してこんな気持ちになってしまうんだろう……。




今思えば答えはもう決まってたのかもしれない。




理性よりも私の本能は正直で
瞳を閉じて、その覚悟を決めた時、



「…よし、取れた。」


「は、はぁ??」


「ほれ、ゴミ。
オマエのまつ毛の上についてた。」



キョウちゃんはそう言って
私の目の前に小さな綿ボコリを見せつける。





――ホ、ホコリ!!?





ギョッとしながらキョウちゃんの指先を見ると、そこには小さな小さな綿ボコリがチョンッと乗っている。






その綿ボコリを見て


「な、な、なんだぁぁぁぁ~っ。」


私はホッとして体中の力が抜ける。






ホコリ…

そうだよねっ!

私とキョウちゃんの間にそんなことがあるわけないもんねっ!!







私は地球の裏側、ブラジルまで聞こえそうな大きなため息を吐くと


「もう!驚かせないでよ!!
ドキドキして損しちゃった!」


そう言って
悪魔な幼なじみの肩を照れ隠しにバンバン叩くと、キョウちゃんにその手をギュッと掴まれる。


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