雨が見ていた~Painful love~


意地悪だけど温かい
二人の何とも言えない雰囲気に何も言えずに


なんだかそんな二人が愛しくて
不覚にも涙があふれ出しそうになっていると



「さ、美織。
私の気が変わらないうちに早く響弥くんの所に行きなさ~い!!」



綾音は理子ちゃんに肩を抱かれながら
フフッと笑って私に叫ぶ。






「あの不器用でカワイイ坊やを幸せにしてやってよ、美織。」



ウィンクしながら、そうおどける綾音の姿が優しくていじらしくて、泣きそうになりながらコクンと頷くと



「イケイケ美織~!!
恋はタイミングが肝心なのよっ!
ヤレると思ったらヤッちぇヤッちゃえ~~っ!!」



カワイイ顔した肉食獣はニッコリと笑いながらこんな恐ろしい一言を吐き捨てる。




――う、今のは聞かなかったことにしよう…。




感動の空気をぶち壊しにした理子ちゃんの言葉はスルーして



「ありがとう、綾音。
私…ね??やっぱり、綾音のことが大好きだよ。」


振り返りながら感謝の気持ちを伝えると


「バカね。」

「…え??」

「私だってアンタのことが大好きよ。」


クスクス笑いながら、綾音はこんなうれしい言葉を私にくれる。




ホンワカしたその空気の中でもう一度グッと拳を握りしめると


「ありがと、理子ちゃん、綾音。
私……向き合ってくるよ、キョウちゃんに。」


その言葉だけを残して、私はその場を後にした。


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