雨が見ていた~Painful love~


え‥‥??


見たことのない冷たい瞳で私を見下ろす彼。その瞳の冷たさに驚いて、身体を強張らせていると


「オイ、綾音。紹介したいヤツがいるっていうから、ムリして練習抜けてきたのに…、なんなんだよコイツ。」

「ちょ、響弥くん…??」


彼の態度に驚いた綾音は目をまん丸にしたまま彼を見つめる。


そんな綾音の戸惑いなんて完全に見ないふりして私をギロリと睨みつけた後


「あー、ムカツク。
胸クソわりぃ!!
悪いけど俺、帰るわ。」


カレは非情にもクルリと踵を返す。




「響弥くん!」

「あーぁ、こんなクソ女と友達してる綾音の神経疑うわ。」

「え、えぇ??」

「‥‥こんなヤツ放っておいて他のところで飲み直そうぜ。」

「で、でも‥!!」

「は?なんでそこで迷うわけ?
来るの?来ねぇの?
さっさと選べよ。」


目の前で巻き起こる、親友の修羅場。


それを私はただ見ていた。
見ているようで何も映していないような空虚な瞳で。


変…だよね??
目の前で起こっていることは紛れもなく現実なのに、今の私には現実味がない。



なんだかテレビを見ているような。そんな他人事みたいな視線で2人の成り行きを見守っていると




「え、えぇ…!?」




綾音は私とカレを見比べて、どうしようかと真剣に悩みはじめてしまった。



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