雨が見ていた~Painful love~


――変わらない…

こういうワガママでガキンチョで俺様なトコ、全然変わらない。



あの頃と変わらない彼のカケラを見つけてしまって。そんなカレを見つけて不覚にもキュウンと切なくなっていると



「…チッ…。
気分ワリィ。俺、行くからな。」



カレは小さく舌打ちをして黒い瞳に沢山の憎しみをたたえながら、その場をサッと後にした。




遠ざかる靴音

遠ざかる背中




あの頃よりもずっとずっと逞しくなったカレの後姿をただじっと見送っていると



「…~~っ!!ゴメン!!
美織!この埋め合わせは必ずするから!!」



私とカレの顔を交互に見ていた綾音は、私の目の前で両手を合わせるとパタパタと靴音をたてながら、カレの背中を追いかけて行ってしまった。




不機嫌そうなカレの背中

カレに追いつく綾音

不機嫌なカレを一生懸命なだめながらカレに腰を抱かれてその場を後にする、綾音。




――なに…やってんだろ、私。




私はずっとずっとカレと綾音の影が見えなくなるまで、カレの後ろ姿を見つめることしか出来なかった。




ただ、見つめることしか出来なかった。




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