雨が見ていた~Painful love~


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幼なじみだったキョウちゃんが
かけがえのないオトコの人に変わってから数時間後。



キョウちゃんはスーツに着替えて、都内のホテルに姿を現した。




ホテルの披露宴会場を貸し切って
会見場にセッティングしたパパ。





会議用のテーブルには白い布が張られ、その前にはザザッとパイプ椅子が並ぶ。




「会見には俺と響弥が出るから、美織は裏でスタンバってろよ??」




会見が始まる前
私はパパにこう言われて、裏で待機が決定。





時間になると続々と関係者が押し寄せてきて、100人近くのマスコミが姿を現した。




「う、うひゃ…、凄いね…この数…。」



記者の数、カメラの台数に驚いて裏口から覗き込みながらそんな声を上げると



「響弥は今話題の人気アスリートだからね。
まあ……、資金繰りの為に慎と美織がそう仕立てたっていう所もあるから、何とも言えないけど。」




同じく裏で控えていた仁くんが私に声をかける。






仁くんは一応ウチの会社の顧問弁護士。
今回の件で何か不都合が起こったら困るから、その対処をお願いしたい…っていう理由でパパは仁くんを呼び出した。



一応ウチの所属選手が起こした不祥事だから、後処理がゴタつくと他の仕事に響くからね……。



起こったことは仕方がないけれど、その後の処理が迅速で誠意ある対応であれば何かクレームが起きても、いつかはうまくコトが収まる。だけどそこがグダグダだと、やっぱりあの会社はダメだと言われる。



それを知っているから、パパはこの場に仁くんを呼んだ。
この後、何が起きてもいいように。



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