雨が見ていた~Painful love~


「元のチケットはどうしたんだよ!!」


「あぁ。パパがちゃんと電話でキャンセルしといたから安心しろっ。」



な、なにーっ!!?
本人に確認もせずに勝手にキャンセルしたのか!!?
コ、コイツ、マジでムカつく!!!!



美織を抱きしめながら
クソオヤジに怒りを感じながら
時計の針をガバッと見ると、そこに現れていた時間は11時半。



国際線のチェックインは最低でも2時間前には行かなきゃなんねー。ってことは4時55分には成田に着いてなきゃだめだ。



代官山から成田までは車で二時間半。
ってことはウチを2時半には出ないとダメってことか!!?


え。
ちょっと待て、ちょっと待て、ちょっと待てー!!


ってことは…
俺に残された時間はあと3時間しかねぇのかーーーっ!!?





「…ヤバイ…。」


「どうしたの?キョウちゃん。」


「俺…なんも準備してねぇ…。」


「え、えぇーーっ!!?」





とりあえずスーツケースだけは準備して何日か分の衣類だけは詰めたけど、しっかりした渡航準備なんて一切してねぇぞ…!!!


ヤバイ…
今すぐ準備しなきゃ間に合わねぇ…!!!!!




俺は立ち上がろうと足に力を入れる。
だけど……目の前にはオトコ的に美味しい恰好をした美織がいる。



Tシャツから伸びたすらりとした足
Tシャツ越しにもわかる、胸のふくらみ



据え膳だ…
コレは絶対、誰が何と言っても据え膳だ。



据え膳食わぬはオトコの恥だ。



しかも相手は美織だぞ??
やっとやっと手に入れた美織だぞ??



ココで諦めていいのか!?
ココで止めて本当に俺は後悔しねぇのか…!!?



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