雨が見ていた~Painful love~


ザアァ……

ザアァ…………




窓の外から聞こえる雨の音



「今日……雨なんだ。」



私はベッドの上で眠い目を擦りながら、そう呟く。






――久しぶりに見たな、あの夢。






キョウちゃんにレイプされた、あの雨の日の夢。



私たちの終わりを告げた、あの雨の日の夢。




キョウちゃんに真っ正面から向き合ったのは、あの日以来だから……もうあれから8年も経ったんだ……。




八年の間
話もしなければ、すれ違いもしなかった、キョウちゃん。





あの事件のあと
私は彼が怖くなってスイミングスクールには一切通えなくなってしまった。



拓真くんともそれが原因で上手く付き合えなくなって、ギクシャクしてしまって……



気かつけば
自然消滅という形で、私たちの関係は終わっていった。



私は高校三年生に
拓真くんは体育大学に



そして……キョウちゃんは、都内にある私立高校・体育科のある高校の推薦入学を突然蹴って、大阪にある水泳の名門校へ進学。



完全寮生活となった彼はお盆も年始も連休もなく、水泳、水泳、水泳の毎日。



彼を目にするのは水泳専門紙の中にある記事や、国体のテレビ中継のみ。




すれ違いもしなければ
出会いもしない
連絡すら取り合わない



そんな日々を八年間続けてきた。

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