NY恋物語

「世界を救うとか、地球を救うとか
そんな大それた
ヒーローになりたいなんて
スーパーマンだって
スパイダーマンだって
本当は思っちゃいないんだ。
男は皆、たった一人の
一番大切な人を守る
ヒーローになりたいって思ってる」

「そう・・・かな?」

「そうです!活力の源はいつだって
愛しい人を守りたいという
思いですよ」

「誰でも?どんな人でも?」

「はい。太古の昔から男の遺伝子に
組み込まれている事ですから」

「じゃぁ…大統領も?」

「もちろん。007だって
ランボーだってそうです」

「鳳さん」

「はい?」

「ありがとう。私……
貴方に逢えてよかった」


俺もです、と思いを込めてもう一度
彼女の華奢な手を包み込んだ。


「莉奈さんに何があったのかは
残念ながら俺にはわかりません。
でも今、莉奈さんに
必要なヒーローは
きっと俺だと思います。だから…」

「?」

「一緒にメシを食いに
行きましょう!」


ほんのすこしの間の後でアハハ!と
声を立てて笑った莉奈さんは
もう萎れた花じゃなかった。
儚く涙する貴女だけでなく
そうやって朗らかにキレイに笑う
貴女のヒーローにも
俺は なりたい。


なりたいですよ!莉奈さん・・・


そう思いながら立ち上がり
少し気取って「さあ」と
左腕をくの字に曲げて差し出すと
立ち上がった莉奈さんの手が
俺の腕にそっと添えられ
優しく微笑んで俺を見上げた。



あぁくそう!
・・・めちゃくちゃ可愛い。




ねぇ莉奈さん 俺じゃダメですか?


< 17 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop