NY恋物語

一人二人と
秀明の存在に気づいた人達の視線が
背中に集まるのがわかった。
アナタはネタなの、と言った
ヨーコの一言が蘇る。


「ねぇ… こういうの、マズイんじゃない?」

「…さっきから色気の無い台詞ばかりだな」


「折角のシチュエーションなのに」と
秀明が呆れたように呟いて
大げさにため息を落とした。


「そんなのん気な事、言ってる場合?!」

「まったく…」


「ムードのないヤツだ」と
私の耳元で囁いた後の唇が
私の首筋をゆっくりと伝い降りて行った。


「…あっ。ん…」


「や…」と首を竦め身を固くした私を
ふふん、と笑った悪戯な唇は
今度は舌先を使って
私の首の後ろを擽り始めた。


「…ぅあ… ン……秀明っ…!」

「いい感じだ」

「もぅ…」


顔を上げた秀明の胸元を叩いた右手は
彼の左手に取られたままで
輝く街を見下ろせるこの部屋へ着いても
離される事は無く………



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