愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
 


 その日の夕方、遅く。

 夕食も取らずに、ただ一人。

 別荘の屋上に立ち尽くす、勇斗の姿があった。

 別に、腹が減っていない訳ではない。

 勇斗の腹の虫は、今日の夕食である、ハンバーグを求めて、きゅー きゅーと鳴いていたけれども。

 今夜は、自分の腹の虫の訴えには、耳を傾けないことに決めたのだ。

 本来、間違いを起こしたのなら。

 きちんと謝って、傷つけた真珠に寄り添っていなくてはならないのに。

 勇斗が、一人、こんな所にいるのは。


 勇斗が真珠から逃げたから。




 ……ではない。

 勇斗は、あのまま山田に、自室に放り込まれたあともまだ。

 蝉の鳴き声がするたびに、蘇って来る過去の記憶に何度も何度も、弄(もてあそ)ばれた。

 それでも何とか。

 回る眩暈を制して、真珠の眠る部屋に戻れば。

 彼女は、もう、その部屋には、いなかったのだ。
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