愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
「う……うそ」

 思いがけない言葉に、真珠は、二、三歩下がって、がたん、と机にぶつかった。

 そのはずみで、真珠は後ろ向きに倒れかけ、その真珠の手を、凪が掴む。

 そんな。

 真珠と凪の肌同士が触れ合ったとき。

 新たな真珠の記憶が溢れだす。

 ……それは。

 真珠と、茂吉の最後の記憶。

 茂吉は、火つけと人斬り。

 真珠は、廓から逃げ出した、大罪を背負い。

 追手に追われて、追い詰められて。

 茂吉と真珠は、神社に逃げ込んだ。

 二人ともに、この世では、死をもってでしか償えない罪だった。

 他に、誰も居ない社の中で、二人。

 強く抱きしめ会って誓った、約束がある。

 それを、真珠は、思い出したのだ。


「「ここで死しても、来世は、必ず夫婦(めおと)となろう。
 互いに、清き身体のままに生き、互いにのみ、愛を貫かん」」

 真珠のささやいた言葉が、一言一句違えずに、凪の口からも紡がれる。
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