ナツメ
どうしてそうしようと思ったのか、自分でも定かではない。

ただ。

彼以外のことを考えたかった。

「ほんとにいいの?」

何度目かの確認。

平日の喫茶店。
わたしと目の前の男は端から見れば恋人のように映るだろう。

でも会うのは今日が初めて。

メールで何度か話したことのある男はナツメと名乗った。
苗字なのか名前なのか、果たして本名かどうかすら怪しい。

だけど、そんなことは関係なかった。
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