ナツメ
ひとりで、ひとりぼっちの部屋にいるのは、もう限界だ。

誰でもいい。
傍にいて欲しい。

わたしの思考を奪って欲しい。

そして、できたら愛して欲しい。

願うようにナツメを見つめた。

「わたしのこと、愛してくれる?」

そう聞くとナツメは、どこか幼い感じの瞳をすっと細めてわたしを見た。

「俺のやりかたで、かわいがってあげられるとは思うよ」

頭のいい男だなと思った。
今の返事はイエスのようでノーのようでもある。
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