本気の恋の始め方
「どうして声、出さないの」
彼の長い指が、下着の中に滑り込んで動く。
声を押し殺す私をじらすように動いて、私をせかす。
「前は、素直に俺に抱かれたでしょう」
「んっ……」
首を横に振る私。
だって大声を出したら警備の人に見つかってしまうかもしれない。
そんなことになったら千野君はどうなるの?
ここにいられなくなっちゃう!!
「出せるわけないじゃない……っ」
するとハッとため息をつかれた。
「――もう、俺はお役ごめん?」
声を押し殺す私を責める千野君の声。
攻める、からだ。
「潤さんの前に‘るうくん’が現れた。しかもいい雰囲気だった……そうしたらもう、俺なんか、いらないんでしょう?」
いい雰囲気?
え……?
「ゴムないけど、入れていい? いいよね。最後に、思い出くださいよ」
布越しに押しつけられる体
全てが薄暗闇の中で行われているこの行為