本気の恋の始め方
「必死なだけです」
だけど私、もっと早くに必死になるべきだったんだ。
るうくんに片思いしていたころから、私は自分の気持ちを口にすることができなかった。
ため込んでため込んで。爆発して。
だけど傷つきそうな気配を感じたら、その場から逃げていた。
いつだってまっすぐに思いをぶつけてくれていた彼に対して、あまりにも残念で、お粗末としか言いようがない。
私、本当に、弱虫だったんだ……。
「いいわよ」
「――えっ!」
顔をあげると、サチさんが手を差し出してきた。
「?」
「携帯。データ送ってあげるから」
「あ、ありがとうございます!」
バッグの中から携帯を取り出して彼女に差し出す。
「はい」
「ありがとう!」
携帯を受け取って頭を下げた。
「本当にありがとうございます!」