本気の恋の始め方
そういうちょっとしたことをちゃんと見てくれる人がいるんだなぁって、なんだか嬉しくなってきた。
「じゃあ、咲ちゃん一緒に資料室行く?」
咲子ちゃんがそうやってくれたら、皆助かると思うし。
弾んだ声でお誘いすると
「いえ、結構です。あそこ埃っぽいし。紙さわると、指先かさかさになっちゃうし」
彼女は綺麗な巻髪をふわっと揺らして、またPCへと視線を戻し、キーボードに優雅に指を滑らせ始めた。
「あ、そう……」
そこらへんはキッチリ線引きされてるのね。さすがだな……。
堂に入ったお断りぶりに感心しながら、私はそのまま資料室へと向かう。
時代は完全に紙媒体からデータに移行しているように見えて、案外大事な資料は紙でも保存されている。
かくいう私も、けっこうこの「紙媒体」というものが好きで、資料室の膨大な紙を見ていると、妙にわくわくしてしまうという、紙フェチなんだけど。