ちよちよみちよ



僕は幼い頃から千代の下僕だった。幼なじみなんて可愛らしいもんじゃない。
『タケイチ!』
千代がそう僕を呼ぶ時は、決まって何か用事を言い付けられた。男のメンツもプライドもあったもんじゃない。
それでも無邪気な僕は信じていたんだ。千代は僕の女で、いつかはお嫁さんにするんだって。
口も態度も悪いが、千代は大きな目と長い睫毛、ふっくらとした唇を持っていた。千代があの可愛らしい顔でニッコリと笑えば、大抵の事は許してしまえる。

「千代、あいつ今、チビ猫ギョロリに呼び出されたんだぜ。進路指導。よりによってあいつ、進路希望に『キャバクラ』って書いたらしい」

そう言ってニヤニヤした視線を僕に送るのは、隣の席のサワヤカボーイ宏樹。
ちなみにチビ猫ギョロリとは担任の事で、サワヤカボーイ宏樹は僕の小学校からの連れ、女の子から黄色い歓声を受けることのできる数少ないイケメン男子、その上、千代のバージンを僕から奪った憎き男だ。前髪を美しく掻き上げやがる。


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