ほし
Prologue

まりの方が、先だった。

生まれたのは先だった。

春生まれの、まり。

あいつは、冬生まれ。




なのに、

どうして、

何にも敵わないんだろう。


女である、まりなんかよりも百二十倍も美しい、綺麗な顔をして、運動も、勉強も、あいつは何でもできる。

正に、天才。


ウイットに富み、誰からも羨望と嫉妬、尊敬の眼差しを受ける。


太陽を除く、全天一の輝きを放つ恒星―――シリウスと同じ名をもつ非凡な人。


誰よりも、次期トップに相応しい人。

そのくせ、家に反発する。


ずるい。

自分の才能を、
類い稀なその才能を、


持っているくせに、

それを使おうとしない。



どれだけ望んでも手に入らない人もいるというのに。




まりは、二等星。



一等星に、あと一歩のところでなれなかった二等星。


星座でいえば、同じなのに、あなたとまりでは全然違う。


一等星の中でも一の輝きを放つあなたと、一等星に僅か届かなかった憐れな二等星のまり。


その通り、笑える。




まりは、アダーラ。




あと少しで一等星になれた、という不遇の星。

今日もシリウスの輝きの陰に押され控えめに、申し訳ない程度に光っている。


< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop