ほし
起床



ぴちゅぴちゅという小鳥のさえずり。
小さな窓から降り注ぐ朝日。

広い部屋にただ一つおかれたベッドの上で眠っている少女に降り懸かっている。

この部屋は、寮一の日当たりが良いところであるがために、朝日だって強めだ。

「ん……るさ、い」


バタバタと廊下を走る音やガヤガヤという生徒たちの話し声は、この部屋には聞こえない。

なぜなら、ここは学園一の寮室だからだ。

ちなみに、ここは水星(みずぼし)学園という幼・小・中・高・大とエスカレーター式の、寮制の学校である。

寮は大まかに二つに分かれており、メルクリウス、ネプトゥーヌス寮という名で、優位というか優先される寮は、メルクリウス寮だ。

もちろんここはメルクリウス寮の寮室で、その優先される寮室の中でも一番の部屋が、この部屋なのだ。


「……!!起きなきゃ」


バサッという小さなシーツがこすれる音と共にベッドの上から慌てた様子で起き上がったこの部屋の主。

普通、寮部屋は、三人から四人で一つなのだが、特別な場合、例えば身分が高位の場合は、一人部屋になる。

もちろんこの部屋の主の少女も例にあたる。

パッパッと迷うそぶりなど全く見せず、制服を身につけていく少女の面(おもて)は無表情だった。


朝日がキラキラと照るにかかわらず、少女の纏う静謐な雰囲気のせいで、どこか部屋が暗く見える。

最後に、真紅色をしたリボンを胸で結び終わると、彼女は黒塗りの扉を開けた。

ぶるり、と頭(かぶり)をふるうと、柔らかな匂いが漂う。
それと同時に、少女の顔(かんばせ)には笑みが浮かんでいた。


真っ黒の天然パーマがかった漆黒の肩までのセミロングに白い小さなかんばせ。

弧を描いてある珊瑚色の小さな唇。

三日月型に細められた、真っ黒の大きな瞳。


どこからどう見ても美少女。それも人当たりの良さそうな美少女だった。



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