偏食家のテーブル
そこで初めてお互いの名前を紹介しあった。ハルカは福岡から上京してきた。もちろんコッチには知り合いはいない。そんな時にカナに話掛けられ、クラブイベントなる物に誘われたらしい。それならば、自分など来なくても良かったのではないか?とも思ったのだが、女二人が初めてクラブハウスに行くのは相当な勇気を必要とするらしい。
そして、この頼りない三人組はフライヤーを手にしたカナを先頭に、クラブハウスを目指して歩きだした。しかし、十五分も歩いたトコロで
「アレェ?ドコだ?」
カナは迷ったらしく、もう一度フライヤーを丁寧に見た。そして、不安な面持ちなまま、また歩みだそうとした時
「あのぉ、さっき『HAIL TO REASON』って看板が、アッチの通りに」
ハルカがおかしなイントネーションで言った。その『HAIL TO REASON』こそが探しているクラブハウスだった。
「アラ、そう。」
と、カナが言うと、来た道を引き返した。どうやら通り過ぎたらしい。
そうして、ハルカが見つけた看板の下まで、頼りない三人組は、やっと到着した。道のりはたいしたことがないのに三十分はかかってしまった。
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