偏食家のテーブル
「でも離婚届はやりすぎじゃない?」
精一杯のカウンターだ。
「・・だって・・もうムリだもん!」
新しいビールがハルカのグラスに注がれた。
「そのガマンしているって事をキチンと伝えてあげたの?」
「ん?・・・でも・・そんなの・・」
効いている。攻撃一辺倒だったハルカが始めて防御に回った。チャンス到来である。逃す手はない。
「田口君は鈍いから言ってあげないとダメよ。ちゃんと説明してあげないと、彼の場合。」
「そこももうイヤなの!この間も、ユーが出張のお土産に・・・」
だめだ。間違えた。また違う爆弾が炸裂した。まったく素晴らしい攻撃力である。海の向こうのアノ国が欲しがるくらいの高精度で、カナの起死回生の一撃は無力化された。そうして、今、二十七日になった。
「で、これからどうすんの?追いかけて来てくれるのを待つの?それともホントに」
「別れるわよ!別れるからまたちょっとココにいさせて、アノ時みたいに生活費も入れるから・・おねがい!」
「ワタシはいいけど・・ドースルの?田口君がココにきたら?」
「いないってゆえば来ないワ。そーゆーヒトよ」
カナもそう思った。
「わかったわ、そうゆっとく。でもホントにいいの?」
「しつこい!しつこい女は嫌われるゾ!ってゆーか飲も!」
「はいはい。」
明日が日曜で良かったと思うカナだった。
< 6 / 89 >

この作品をシェア

pagetop