偏食家のテーブル
九年前、春 2
ハルカとカナの記憶の中にはヒガシ君はいなかった。ヒガシ君の中にも、あの事件のハルカとカナはいなかった。が、ユタカのおかげでつながった。記憶の糸が「あ〜あの時の」というフレーズとともに結ばれた。
ヒガシは大人だった。ユタカはそんなヒガシを尊敬していた。いや、尊敬とは少し違う、親近感とも少し違う、何か兄のような…そんな雰囲気を持っていた。ハルカとカナにもそれは伝わった。大人と感じさせて、その次にはキチンとおどけて見せ、若い衆につけいるスキを与え、その中でも彼は彼のルールを厳しく守る。印象はそんなトコロだろう。
ユタカがいつのまにかいなかった。クラブの隅の方にいたヒガシと話していたハルカとカナは
「アレ?田口君は?」
と、ヒガシに聞いた。すると、ヒガシは何も言わずただ前方を指差した。
DJブースの前に人影が二つ。二つともフードをかぶり、手を前に組んでいる。BEATが叩かれた。そして、スクラッチが入ると、その二つの人影がフードを後ろに放り出し、ユタカと誰かが現われた。
轟音。
ハルカは気持ち良くなった。カナも口を開けて見ている。「ユタカぁー!」「サマぁー!!」誰かが叫ぶ。
ヒガシは大人だった。ユタカはそんなヒガシを尊敬していた。いや、尊敬とは少し違う、親近感とも少し違う、何か兄のような…そんな雰囲気を持っていた。ハルカとカナにもそれは伝わった。大人と感じさせて、その次にはキチンとおどけて見せ、若い衆につけいるスキを与え、その中でも彼は彼のルールを厳しく守る。印象はそんなトコロだろう。
ユタカがいつのまにかいなかった。クラブの隅の方にいたヒガシと話していたハルカとカナは
「アレ?田口君は?」
と、ヒガシに聞いた。すると、ヒガシは何も言わずただ前方を指差した。
DJブースの前に人影が二つ。二つともフードをかぶり、手を前に組んでいる。BEATが叩かれた。そして、スクラッチが入ると、その二つの人影がフードを後ろに放り出し、ユタカと誰かが現われた。
轟音。
ハルカは気持ち良くなった。カナも口を開けて見ている。「ユタカぁー!」「サマぁー!!」誰かが叫ぶ。