ついていきます生徒会長‼


ついに放課後になった。

約束通り校門の前まで行くと青木先輩がいた。


「あっきたきたのどかチャン!じゃあ行こう!」

「はい!」



会長の家へ行く前に
青木先輩とコンビニで冷えピタとかを買って行った。





「会長の家ってどんな感じなんですか?」

「うーん…それはもう大きい家だよ…広すぎて居心地悪いっていうか…」

「へえ…そうなんですか…」

「あっほら、あれだよあれ!着いたよ!」



青木先輩が子供みたいに楽しそうに私の手を引っ張って走る。

私この人のこういうところ好きだなあー…ふふふ!



「ほらこれ!」

「…え」


う、うそ、これが…



お、大きすぎる…


和風な家で今までにみた事がないくらいに大きい。


「も、もしかして会長ってお金持ち…?」

「あれ?知らなかった?日向財閥ってここら辺でも有名じゃね?」

「えっ!?!?」

「知らなかったんだー。篤志って、そこの跡取り」



し、しらなかったー!


私って…会長の事何にも知らないんだね…


「じゃあ、中に入るか」

そう言って青木先輩は日向家のインターホンを押した。



『…はい』

「おっ篤志!オレだよオレ!」

『…諒か』

「あとのどかチャンもいるよ~!」

『!? 張間もか』

「何だよーオレの時と反応違う!とりあえず見舞いに来てあげたから、入れて!」

『いいだろう、入れ』

インターホンから会長の声が聞こえると日向家の大きな門は開いた。


…すごい。

庭も大きくて…池まであるし…



「張間、諒」

あっ会長!

わざわざ来てくれたんだ…。


「会長体の調子はどうですか…?」

「んー、まあまあ、だな」

見るからに具合悪そうだけど…。



「そういやここにいるたくさんのお手伝いさんたちはー?」


部屋の中を物色してた青木先輩が言った。




「ああ…全員帰ってもらった…風邪をうつすと悪いからな」

お手伝いさん…やっぱりいるんだ…こんなに大きい家だしね…


「会長、お薬飲みましたか?」

「あんなもの飲めるか…苦い…」

「お薬飲んでないんですか!!?駄目じゃないですか!!」


近くに居た青木先輩がブハッと吹き出す。



「薬飲めないとか、何歳児だよオマエ」

「うるさい。黙れ」


「会長、何か食べ物は食べました?」

「いや…何も…腹は減ってないから…」

「お腹減って無くてもなにか食べなくちゃ!台所かりますよ!」

「のどかチャン、お母さんみたいだね」

「もう!会長ってばホントに何もしてないんだから!治るものも治りませんよ!」

「あ、ああ…すまん…」

「ブハハ!!怒られてやんの篤志!!」



今日は来てよかった…

あまりにも何もして無さ過ぎて…


さ、とりあえずお粥でも作ろう。

お野菜も入れなきゃな…。


----

「あれ、どこ行くんです?青木先輩」

「ん?もう帰るー」

「えっ!?もう帰るんですか!」

「いや、篤志にはのどかチャンがついてるから大丈夫かなーと思って!

じゃあ後はよろしくね!」


そう言って玄関から出て行ってしまった。

何なんだあの人は…。



「お粥できましたよー」

「ああ悪いな…そういえば諒は?」

「あの人ならさっき帰りました…」

「そうか…一体何しに来たんだあいつは…」

…私もそう思います。


「一人で食べれます?」

「ああ、大丈夫だ」

「食べ終わったらこの薬飲んで下さいね!」

「……………分かった」


薬嫌いなんて意外だな~。

ちょっと笑える。


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「とりあえず、食欲あってよかったです。お薬も飲めましたしね!」

「ああ…色々ありがとうな」

「後は熱はだんだんと下がっていくと思いますから、帰りますね!」


ホントはまだ少し心配だけど、私がいても邪魔だから帰らなくちゃ。

明日には治って学校に来れますように。

私も会長がいない生徒会なんて、つまらないもん。


「じゃあ、会長、お大事に…」


そう言って帰ろうとした瞬間

手を掴まれた。




「…で…くれ…」

「え?」


「行かないでくれ…」

「か、会長」

「傍に…傍にいてくれ…」


腕を引っ張られ、自然と抱きしめられるような体制になる。

顔が思い切り赤くなった。


「わわわわっ分かりました!じゃじゃあも、もうしばらくここにいますね…」

「…ありがとう」



…やっぱり風邪の時は誰かに傍にいて欲しいものだよね…


会長の両親も忙しいのかな。

もしかしたら小さい頃もいつも一人だったんじゃないかな…。

風邪をひいたときも…。


私も、一人だったからよく分かる。

寂しい気持ち…。

私が、会長の傍にいてあげなきゃ。守ってあげなきゃ。



-----



…笑い声が聞こえる…。

目が覚める…。

あれ…私今まで何してたんだっけ…。


確か…会長が熱出してお見舞いに…。



ハッ!

飛び起きた。

会長のお見舞いに来て、会長のベッドの傍で思わず転寝をしてしまった。


「起きたか」

「か、会長」


そこにはすっかり元気になった会長がいた。


「よだれ垂らしながら気持ちよさそうに寝てたな」

「なっ…!」

会長はずっと笑っている。

は、恥ずかしい…。


「ありがとうな。お前のおかげですっかり元気になったよ」

「それはよかったです!」


よかった!やっぱり治ったんだ先輩。


「じゃあ、帰りますね!」

「ああ、すまなかったな。今日は」



会長が玄関まで見送りに来てくれた。


「また明日!待ってますよー」

「ああ。じゃあな」


帰ろうと一歩踏み出す。

そこで大事な事を思い出した。



「ああああああああ!!!!!」

「な、何だよ急に大声出して…驚かせるな」

「す、すみません!!」

「で、どうした?」


そういえば…会長のメアドを聞こうと思ってたんだ…!


「あ、あのよかったらメアド…教えて下さい…!」

「………」

「?」

「何だ、そんな事か。良いぞ別に。深刻な顔で言いだすものだから何事かと」

そう言って会長は笑った。


私達は赤外線で番号を交換した。

…いつもは普通にやってるこの作業も、会長が相手だと恥ずかしいな。

よし。これで会長の念願のメアドゲット!やった!


「…後でオレから連絡しておくな」

「はい!よろしくお願いします!」

「じゃあな」

「はい!さよならー!」


私は満足で帰路に就いた。




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「あっ会長からメールだ!!」


家に帰り、お風呂に入った後でメールが入っていた。

るんるんでメールを開く。


『これからよろしくな。後さっき、我ながらいい写真が撮れたから送っておく』


…写真?なんだろ。

添付ファイルを開くと、会長のベッドでよだれを垂らしながら転寝している
私の写真があった。


「も、もう!!!!!会長のバカ!!!」

う、うわああ…こんな顔見られてたなんて恥ずかしいよ…


しかも写真撮ってたなんて…

だから会長笑ってたのか…


ヒイイイイイ…やっぱり…この人鬼畜だ…




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