バイナリー・ハート 番外編
「勘違いするな。こいつが子どもの頃の話だ」
あまりに予想通りの反応に、結衣はクスリと笑う。
ランシュは呆れたように大きくため息をついた。
「オレのキスなんて人形のキスと変わらないんだから、そんなに目くじら立てなくても……」
「都合のいい時だけロボットになるな。道具が相手と変わらないとか言って、それ以上の行為に及んだら許さないからな」
「……え……」
結衣とランシュは同時に声を発して、次の瞬間絶句する。
咄嗟に顔を見合わせた後、ランシュが気恥ずかしそうに目を逸らした。
そして困ったように横目でロイドを睨む。
「そんな事考えてもいませんでしたよ。変な想像しないで下さい。こっちが恥ずかしいです」