青空にさよなら




その女の子とは今はどうしているのだろう。


今でも会っているのかな。
連絡はとってるのかな。


その女の子のことが……碧は好きなのかな。


聞きたいという気持ちは山々だったけど、何故か聞けなかった。


「あ、蒼唯。そろそろ帰る時間じゃない?」


「え……あ、ほんとだ……」


携帯電話で時刻を見ると、碧の言った通りいつの間にかもう帰らないといけない時間になっていた。


「じゃあ、あたしもう帰るね」


「うん。今日は澤田先生とちゃんとお話するんだよ」


「わかってるって」


碧がまるで親みたいに心配そうな顔で念を押してくるから、あたしは苦笑しながら頷く。


「じゃあ、また明日ね」


「うん」


いつもみたいに手を振って碧と別れ、あたしは歩き出す。


モヤモヤとしたこの変な気持ちは消えない。
それどころか、碧と別れてひとりになった途端、さらにそのモヤモヤは大きくなったみたいであたしの心をざわつかせる。


碧は基本的に穏やかな雰囲気の人ではあるけど、例の女の子のことを話す時の碧は、いつも以上に本当に優しい目をしていたような気がする。


やっぱり、好きなのかな。


直接本人からそう聞いたわけではないからわからないけど、ただひとつ確実にわかったことがある。



あたしは、きっと、碧に恋をしている。



だって、その女の子と碧が恋人同士なんていう関係だったらと考えるだけで、こんなにも胸が締めつけられるように痛くなるんだから。



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