青空にさよなら




他にも思い当たるところは探してみたけど、あたしと美空のローファーは見つからなかった。


考えた末に、あたしは校庭で体育をする時に履いている運動靴で帰ることにした。


制服に、このしっかりとしたスニーカーはちょっと可愛くなくて嫌だけど、仕方ないもんね。


「あの……蒼唯ちゃん」


昨日からあたしのことを名前で呼んでくれるようになった美空。
それに感動しながらも、運動靴に履き替える手を止めた。


「私、運動靴洗おうと思って、この前持って帰っちゃってて無いんです……」


「ええっ」


ということは。


美空の下駄箱を覗き見る。


上履きは今履いてるし、運動靴は家で、ローファーは神隠し。


美空の下駄箱は思わずびっくりするほど、すっからかんで一切何も入っていなかった。


「私、もうこのまま上履きで家に帰るよ。ローファーも見つからないし」


苦笑する美空。
確かにこれしか方法はないんだろうけど……。


でも、上履きで帰るなんて、汚れるし恥ずかしいし、美空だってきっとすごく嫌なはず。


考えると同時に、ふつふつと沸き上がってくる清水さんたちへの怒り。何でこんなことをするのか本当にわからない。


でも、怒ったところで美空のローファーが出てくるわけではない。


……あ、それなら。



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