熱帯夜
憧れの彼女はファッションセンスが良く、今日もお洒落だった。
ゴールドの小さなビーズが襟まわりに付いている真っ白な、サラリとしたワンピースに、ペイズリー柄でパステルカラーのストールを羽織っていた。
足元はゴールドのバレーシューズ風の靴で色もしっかりまとめている。
他の子も、私よりはお洒落をして来ていて、更に恥ずかしくなった。
早く上映時間にならないかな…
そしたら、服なんて気にしなくてすむのに…。
恋、してないからかな?
元彼と別れてからは、特に何の出会いもなく、自分からも新しい恋を探さなかった。
あの日の『私頑張るー!』のワンシーンが蘇る。
全然ダメじゃん…
常に恋愛をしていなきゃいけない、そんな事はないけれど、頑張ると言ったのに、何も頑張っていない自分に腹が立った。
恋はしていなくても、せめてお洒落には気を使ったり、自分磨きはしなくちゃいけない…
少し怠けすぎていた。