樹海を泳ぐイルカ

僕はうっそうと茂った木々の隙間をかろやかに進んでいく透子の背中をつまづきながら追いかけた。


一瞬でも目を放すと、きっと僕は此処に取り残されてしまう。


透子は身軽な身体をひょいひょい動かして突き進んでいく。


その姿は、森の精霊のようだった。



透子はまるで自分の庭を散歩するかのごとく、樹海のなかを進んでいく。



僕は真っ暗な樹海で彼女の白い服だけを追いかけた。



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