あなたを抱けなかった理由
蝉が待ってましたと一斉に鳴き始めるころ、私の体に異変が起こった。



最初は、なんとなく違和感があった。
寝ても寝ても、朝すっきり目覚めることができなくて、食欲がなくなり、何をしてても頭がボーッとして集中することができない日が何日か続いた。




夏風邪でも引いたのだろうと思って、放っておいたのだけど日に日に体が辛くなり、ついには食事がのどを通らなくなっていた。


私を心配した彼が、医者に連れて行こうと休みを申し出ると、私は奥さんに「ちょっと」と呼ばれた。





奥さんが私を呼ぶことはそんなに珍しいことではなかったので、私はダルイ体を引きずるように社長宅へと向かった。
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