あなたを抱けなかった理由
病院についた社長と奥さんは、私の名前を呼んだきり何も言わなかった。


彼らの到着を待っていたのは、私ではなくあの警官だったため、私たちは言葉を交わす前に、社長と奥さんは彼のいる部屋へと連れて行かれた。



再び静かになった病院の廊下の窓には、やっと小降りになった雨の滴がツーっと一筋の道を伝って落ちていく。


私は、それをボーッと眺めながら何も考えることのできない体を起こし、ゆっくりと外へ歩き始めた。
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