雨夜の密会



“ミャー”



猫の鳴き声が聞こえてきた。


足元を見ると、真っ白な毛の仔猫がいて、私の足をスリスリしている。



「私を元気つけてくれてるの?」



私は仔猫に手を伸ばして体を撫でようとした。


でも仔猫は私の足元から離れて、草むらの中に入って行ってしまった。



「待って!」



私を1人にしないで。


私は仔猫を追いかけて草むらの中に入る。


木の下に母猫と3匹の仔猫。


前に鳴海さんと見た同じ光景。


私は猫の親子の前にしゃがんだ。


真っ白な毛の仔猫が母猫に甘えてる。


その体を優しく舐める母猫。


その時、空からポツポツと雨が降り出してきた。


猫が濡れちゃう。


何とかしてあげなきゃ。


そう思ってる間にも雨はどんどん激しくなっていく。


何か雨を避けれるものを探すけど、何もない。


…………そうだ。


私は折りたたみ傘を広げ、猫の親子の上に置いた。




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