雨夜の密会
ー8年前ー
「おい!鳴海!お前、何やってんだよ!おせぇんだよ!」
両肩にアルミのハードケースを下げた俺は先輩アシスタントに怒鳴られていた。
「は、はい!すみません!」
蝉の声が耳をつん裂き、雲ひとつない真っ青な青空。
歩いてるだけで着ていたTシャツは汗でびっしょり濡れて、額からも大量の汗が流れていた。
「ちんたら歩いてねぇで走れよ!」
「は、はい!」
走って先輩の側まで行く。
そこで頭を叩かれるなんて日常茶飯事で。
でも、また、歩くスピードがどんどん遅くなり距離が離れていく。
軽いもんばっか持ってるお前に言われたくねぇよ。
と、心の中で思いながら歯を食いしばりついていく。
何度も辞めようと思った。